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予約メールと家族のメモを貼るだけで、当日見られる旅程表になるのか

#Claude#旅行#プロンプト#暮らし

予約は全部取ってある。旅程表になっていないだけ

旅行の準備でいちばん残るのは、予約そのものより、その後片付けのほうです。ホテルからの確認メール、特急の予約控え、レンタカーの案内、家族から送られてきた「行きたい所」のメモ。必要なものは全部そろっているのに、どこにもまとまっていません。当日、駅のホームでメールを行き来しながら「レンタカーの受け取りは何時からだったか」を探すことになります。

自分で清書すればいい、というのは分かっています。ただ、出発前の夜にそれをやる気力は残っていません。だったら受信箱の中身をそのまま貼って、旅程表にしてもらえないか。貼るだけで済むのか、済まないなら何を足せば当日そのまま開ける形になるのか。同じ会話の中で頼み直しを重ねて、最後に残った表をそのまま載せます。

受信箱から集めた4通(すべて架空)

宿も駅も地名も架空です。2泊3日、10月17日(土)出発で、家族の旅行という設定にしました。長さは実物に近づけて作り、記事にはそれぞれ要点だけを載せます。

出所 中身(抜粋)
ホテルからの予約確認メール サンプル湖畔ホテル/10/17(土)〜10/19(月)2泊/和室1室・大人3名/チェックイン15:00〜19:00・チェックアウト10:00/朝食付き(7:00〜9:30 2階)
特急の予約控え 10/17 サンプル中央駅 8:20発 → みずうみ駅 11:05着/10/19 みずうみ駅 16:40発 → サンプル中央駅 19:12着/4名・2号車11〜14
レンタカーの予約メール サンプルレンタカー みずうみ駅前店/10/17 11:30 出発・10/19 15:30 返却/ミニバン(定員5名)/店舗営業 9:00〜18:00
家族の走り書き 行きたい所=サンプル美術館、まきば牧場、しずく滝、道の駅さんぷる/「美術館、月曜休みだったかも」「牧場は16:30最終受付」/祖母は坂がきついところは無理

この4通には、そろっていないところが最初から残っています。ホテルは大人3名で取ってあるのに特急は4名分で、走り書きには祖母が出てきます。美術館の休みは「かも」のままで、どの資料にも確定した情報がありません。最終日の午前は、チェックアウトとレンタカー返却のあいだが空いたままです。意地悪で作ったわけではなく、人数を途中で変えたり、あとで調べようと思ったまま出発日が近づいたりすると、たいていこうなります。

「この旅行の旅程表を作って。」とだけ頼む

最初は何も工夫せず、4通を順番に貼り付けて、最後に一言だけ添えました。

[ホテルの確認メール/特急の予約控え/レンタカーの予約メール/家族の走り書きを貼り付け]

この旅行の旅程表を作って。

返ってきたのは、1日目から3日目まで時刻順に並んだ、それらしい旅程でした。冒頭を抜き出します。

1日目:10月17日(土) 08:20 サンプル中央駅発(特急・4名/2号車11〜14) 11:05 みずうみ駅着 11:30 みずうみ駅前店でレンタカーを受け取り(駅から徒歩すぐ) 12:00 昼食。駅前で済ませると、そのまま出発できます 13:30 しずく滝を散策(1時間ほどみておくと安心です) 15:30 サンプル湖畔ホテル チェックイン(和室1室・大人3名)

2日目は午前に美術館、午後に牧場。3日目は10:00にチェックアウトして道の駅でおみやげ、15:30に返却、16:40の特急に乗る。末尾には、こんな断りも付いていました。

美術館は月曜が休館の可能性があるとのことでしたので、日曜の18日に組み込みました。

走り書きの「かも」を読み飛ばしてはいません。ただ、僕が手を止めたのは別のところでした。「駅から徒歩すぐ」「1時間ほど」、その先には「牧場まで車で約30分」という行もあります。どれも4通のどこにも書かれていない数字です。地名が架空なのだから調べようがないはずで、それらしく置かれているだけです。実在の地名でも事情は変わりません。営業時間や所要時間は変わるものなので、確かめずに表に載った時点で使えなくなります。

もう一つ。1日目の行に「4名」と書かれ、その5行下に「大人3名」と書かれています。両方そのまま写されていて、食い違いには触れられていません。揃えられたわけではなく、気づかれた形跡もない。表として読むとつながって見えるぶん、かえって危ない状態でした。

そして長い。3日分に解説文が挟まって、スマホで開けば何度もスクロールすることになります。当日ホームで見るものとしては、これでは元のメールと大差ありません。

資料を上に置いて、書き出してから表にしてもらう

Claudeの公式ドキュメント(Prompting best practices)に、長い資料を渡すときの置き場所の話が出ています。

Put longform data at the top: Place your long documents and inputs near the top of your prompt, above your query, instructions, and examples.

(長い資料は上に置く:長い文書や入力は、質問・指示・例よりも上、プロンプトの先頭近くに置いてください)

Queries at the end can improve response quality by up to 30 percent in tests, especially with complex, multidocument inputs.

(末尾に質問を置くと、テストでは回答の品質が最大30パーセント向上することがあります。とくに複雑な複数資料の入力ではそうです)

同じページには、資料を <document> で囲み、中身を <document_content>、出所を <source> と分けて渡すことも勧められています。今回は日本語で <資料1>〜<資料4> と囲み、タグの中に出所を書き添えました。ホテルからの正式なメールと、家族の走り書きが同じ重みで並んでいるのが、この4通のややこしいところだからです。

<資料1 出所="ホテルからの予約確認メール">
…(メール本文)
</資料1>
<資料2 出所="特急の予約控え(自分でメモ帳に貼ったもの)">
…
</資料2>
<資料3 出所="レンタカー会社からの予約確認メール">
…
</資料3>
<資料4 出所="家族の走り書きメモ">
…
</資料4>

上の4つは、僕の旅行の予約メールと家族のメモです。
まず各資料から、日付・時刻・人数・場所を資料ごとに書き出してください。
そのあとで、旅程表の表にしてください。

書き出しの段で、さっきは出てこなかったものが出てきました。

資料1(ホテルからの予約確認メール) 日付:10/17(土)〜10/19(月)2泊/時刻:チェックイン15:00〜19:00、チェックアウト10:00、朝食7:00〜9:30/人数:大人3名/場所:サンプル湖畔ホテル

資料2(特急の予約控え) 日付:10/17、10/19/時刻:8:20発11:05着、16:40発19:12着/人数:4名/場所:サンプル中央駅、みずうみ駅

ここまでで、人数が資料ごとに違っています。ホテルは大人3名、特急は4名分、レンタカーは定員5名の車です。資料4に「祖母」とあるので、あとから1名増えた可能性があります。

資料は初回とまったく同じで、置く順番と「書き出してから表にして」の一行を足しただけです。それだけで、4通にまたがった食い違いが表の前に出てきました。表にする前に資料の中身を一度並べさせると、突き合わせが表の外で終わるということのようです。

ただ、続く表には「移動:約30分(推定)」という行が残っていました。(推定)と付いたぶん正直になりましたが、書いてほしくないものが書かれているのは同じです。

埋めないでほしい、と伝えたら空っぽになった

そこで、次の一言を足しました。

資料どうしで食い違うところ、どの資料にも書かれていないところは、勝手に決めないでください。
表には入れず「確認すること」にまとめてください。
移動にかかる時間は資料にないので、表に書かないでください。

移動時間の行は消えました。人数も表から外れ、美術館の休館も、最終日の午前も「確認すること」に移りました。効きすぎたのはその先です。日付の指定がない美術館・牧場・滝・道の駅が、まとめて「日付が決まっていないもの」という別の箱に移されて、18日の表が朝食1行だけになりました。確認事項は8項目に増えています。

・人数(ホテル3名/特急4名)が一致していません ・サンプル美術館の10/19(月)の開館状況が確認できていません ・10/19の午前の予定が、どの資料にもありません ・行き先4か所の日付が決まっていません ・各地点間の移動時間は資料にないため、記載していません (以下略)

全部を確認事項に回されると、結局こちらで全部決めることになります。間を詰めようとして、効かなかったプロンプトもありました。

「もう少し見やすくまとめてください」は効きませんでした。太字と区切り線が増えて、行数は変わりません。見やすさの中身を言っていないので、そうなります。もう一つは途中でやめた案です。「祖母が歩きやすい順路にしてください」と頼んだら、「しずく滝のような場所は遊歩道に階段があることが多いので」と書き始めました。架空の滝の地形を知っているはずがなく、さっき追い出した推測が別の口から入ってくる形だったので、取り消しました。歩きやすさの判断は、資料4の一行をメモ欄にそのまま置いてもらうだけにします。

形の指定と、仮置きの許可を、続けて出しました。

1日ごとに表を分けて、スマホの1画面に収まる分量にしてください。
列は 時刻/予定/場所/メモ の4つ。「確認すること」は5行以内。
行き先は仮置きでかまいません。どの日に置いたか分かるように「(仮)」と書いてください。
時刻が資料にないものは、時刻の欄も「(仮)」のままにしてください。

できあがった旅程表

10月17日(土)

時刻 予定 場所 メモ
8:20 特急に乗る サンプル中央駅 4名・2号車11〜14(資料2)
11:05 着 みずうみ駅
11:30 レンタカー出発 サンプルレンタカー みずうみ駅前店 店舗9:00〜18:00
(仮) しずく滝 ― 資料に時刻の記載なし(資料4)
15:00〜19:00 チェックイン サンプル湖畔ホテル 和室1室・大人3名(資料1)

10月18日(日)

時刻 予定 場所 メモ
7:00〜9:30 朝食 ホテル2階 朝食付き(資料1)
(仮) サンプル美術館 ― 「月曜休みだったかも」(資料4)。日曜なら影響なし
(仮) まきば牧場 ― 最終受付16:30(資料4)
(仮) 道の駅さんぷる ― おみやげ(資料4)

10月19日(月)

時刻 予定 場所 メモ
7:00〜9:30 朝食 ホテル2階
10:00 チェックアウト サンプル湖畔ホテル
午前 予定なし ― どの資料にも記載がありません
15:30 レンタカー返却 サンプルレンタカー みずうみ駅前店
16:40 特急に乗る みずうみ駅 サンプル中央駅 19:12着(資料2)

確認すること

  1. 人数:ホテルは大人3名、特急は4名分です。どちらに合わせるか(資料4に「祖母」の記述あり)
  2. サンプル美術館が10/19(月)に開いているか。資料4は「かも」止まりです
  3. 10/19の午前に何をするか。どの資料にも予定がありません
  4. 各地点への移動時間と、しずく滝の坂の有無(資料4:祖母は坂がきついところは無理)
  5. (仮)の4か所を、17日と18日のどちらに置くか

初回にあった「徒歩すぐ」「1時間ほど」「車で約30分」は、この表には1つも残っていません。時刻の欄に入っているのは、4通に書いてあった数字だけです。人数も片方に寄せられず、3名と4名が並んだまま1行目に置かれました。どちらかに揃えてくれたほうが表は整いますが、整った表を信じて特急の券を1枚余らせるほうが困ります。

最終日の午前が「予定なし」で残っているのも、そのままにしてもらいました。埋めればそれらしくなる場所を空けておくのは、たぶんAIにとっていちばん頼まれ慣れていない仕事です。

自分の旅行でやるなら、資料を全部先に貼って、指示を最後に置く。書き出してから表にしてもらう。資料にないことは書かないでほしいと伝える。そのうえで、行き先は仮置きでいいと言い足す。この4つを順に足していく形になります。実在の施設なら、ここに「営業時間と休館日は書かないで」も加えたほうが安全です。表に入った瞬間、確かめた情報と区別がつかなくなります。

まとめ

意外だったのは、「書かないで」と「それでも置いて」の両方を言う必要があったことです。推測を止めると、今度は決められることまで止まって、表が空になりました。旅程表は全部確定した清書ではなく、決まっている時刻と、まだ決まっていない場所が同じ紙に並んでいる状態で使うものなので、そこの線引きを言葉にするのが仕事のほとんどでした。

(仮)が4つと確認事項が5行、残っています。減らしきれなかったというより、減らしてはいけない部分がここに集まった、という形です。旅行の前日にやることが、5行に減った紙になりました。

見た目がいちばん完成していたのは、初回の出力でした。時刻が詰まっていて、空欄がなく、読み物として滑らかです。当日いちばん困るのは、たぶんあの表です。

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