請求書が39,600円、自分の理解は36,000円。取引先への確認メールをAIに書かせた
請求書は39,600円。僕の理解は36,000円でした。パンフレットを300部、1部120円で頼んだので、計算すれば36,000円です。表紙の色を差し替える依頼も出していて、それが反映されたのかも分かりません。手元にあるのはメール3通だけ。発注側が僕、受注側が印刷会社という設定の、架空のやりとりです。
食い違いの元はこの2行です。
1部120円で、合計36,000円という理解で進めます。(僕・9月18日)
了解しました。300部で進めます。(相手・9月19日)
読み返すと、「了解しました」が金額まで含んだ返事のように見えます。でも、そう書いてあるわけではありません。この状態で確認メールを書くと、自分の思い込みを事実として並べてしまいます。
そこで、3通をまるごとClaudeに渡して、相手に送る確認メールを1本書かせてみました。使ったのはClaude Sonnet 5で、検索などのツールは使わせていません。
出てきた確認メール
件名: パンフレットの件、いくつか確認させてください
サンプル印刷 鈴木様
お世話になっております。サンプル商事の田中です。
いくつか確認をお願いできますでしょうか。
・表紙の色は紺からグレーへの変更を反映いただけていますでしょうか。 ・納品を水曜までに前倒しいただくことは可能でしょうか。会議が木曜のため、可能であれば助かります。 ・今回いただいた請求書は39,600円となっておりました。内訳を教えていただけますでしょうか。単価や部数に変更があった場合は、あわせてご教示ください。
お忙しいところ恐れ入りますが、ご確認のほどよろしくお願いいたします。
田中
質問は3つでした。部数は聞き返していません。300部と書いたのは僕で、相手もその数字を復唱しているからです。相手が伝えてきた「来週金曜」という納品予定も、確認し直していません。水曜への前倒しだけは頼んでいますが、これはまだ誰も決めていない話です。36,000円という金額も出てきません。自分で書くと、たいていここに「ご請求は36,000円のはずですが」と入れてしまいます。
消費税の話が出てこなかった
Claudeはメールを書く前に、3通の中身を仕分けていました。39,600円について「メールからは分からないこと」に入れたのはこれです。
請求書が39,600円になった理由(単価や部数の変更、追加費用の有無など)
間違っていません。ただ、いちばんありそうな理由が抜けています。36,000円に消費税の10%を足すと、ちょうど39,600円です。僕が言った36,000円は税抜で、請求書は税込だったのではないか。そう考えれば、単価も部数も変わっていません。
同じやりとりを、今度は自分を受注側の印刷会社にして渡しましたが、どちらも税金の話は出てきませんでした。確認メールも「内訳を教えていただけますでしょうか」で終わっています。1部120円で300部という計算のほうは合っているので、そこで話が閉じたのだと思います。電卓を1回叩けば見える話なのに、候補として挙げてきませんでした。
使ったプロンプト
2回に分けて頼みました。1回目は、メールの中身を「決まっていること」「片方がそう思っているだけのこと」「メールからは分からないこと」の3つに分けさせるものです。下のプロンプトの (1)(2)(3) が、順にこの3つです。
取引先とのメールのやりとりです。僕は発注側のサンプル商事・田中です。
どちらの言い分が正しいかは判断しないでください。このやりとりの本文だけを根拠に、次の3つに分けてください。
(1) 双方の文面から確定していること
(2) どちらか一方の解釈にすぎないこと(誰の解釈かを書いてください)
(3) 文面からは分からないこと
各項目に、根拠にしたメール本文の一文を、書かれているとおりそのまま引用して添えてください。本文にない言葉で言い換えないでください。
メールに書かれていないことを、一般的な商習慣から補ってはいけません。補いたくなった箇所は(3)に入れてください。
目を引いたのは置き場でした。僕が書いた「1部120円で、合計36,000円という理解で進めます」が、「片方がそう思っているだけのこと」の側に置かれました。相手の返信に金額の記載がないから、という理由も添えてありました。水曜への前倒しは「決まっていること」に混ざると思っていたのですが、「メールからは分からないこと」のほうに置かれました。可能かどうかを相手はまだ答えていないので、確かに決まっていません。
続けて、同じ会話でこう頼みます。
(3)に入れたものを、サンプル印刷の鈴木さんに確認するメール1本にしてください。
・相手を責める書き方にしない
・こちらの解釈を、すでに決まったことのように書かない
・(1)に入れたことは確認せず、(3)だけを聞く
・そのまま送れる長さにする
質問が3つに収まったのは、3つめの行のおかげだと思います。すでに決まっていることは聞かせず、分からないことだけを聞かせる。これがなければ、部数や納品予定の確認まで並んだ長いメールになりそうです(抜いた版は試していないので、確かめてはいません)。
まとめ
この確認メールで効いたのは、書かれた質問より、書かれなかった質問のほうでした。相手にとっては、すでに答えたことをもう一度聞かれるのがいちばん面倒です。
代わりに、自分でやることが1つ残ります。金額が2つ出てきたら、小さいほうに消費税を足してみる。大きいほうと一致したら、聞くことは「内訳を教えてください」ではなく「36,000円は税抜でしたか」に変わります。これなら1往復で済みそうです。
準備はいりません。自分が送ったメールと相手の返信を貼って、上のプロンプトを添えるだけです。