休む前の引き継ぎメモをClaudeに1回貼ったら、同僚から来るはずの質問が先に分かった
休みに入る前に、毎月の会議の準備を同僚に任せる。引き継ぎメモは8行で、書いた本人が読み返すと、これで足りているように見えます。
このメモをClaudeに1回貼って、受け取った同僚の立場で「休み中の相手に電話してでも聞きたいこと」を出させてみました。返ってきた質問は8つでした。そのうち7つは、メモのどこにも書かれていない、書いた人の頭の中にだけある前提を突いていました。
用意したのは、部内の定例会議の準備を毎月している人が、休む前にざっと書くくらいの引き継ぎメモ(架空)です。メモそのものも、何に使うかは伝えずに、別の会話でClaudeに書かせました。中身は、会議室を押さえる、議題を集めて資料にまとめる、招集メールを送る、議事録を共有する、といった8行です。貼った先は新しい会話で、使ったモデルはClaude Sonnet 5、ツールは使わせていません。
休み中に来るはずだった質問
質問はメモの行ごとに出てきました。たとえばこんな質問です。
「各部署の担当者」とは具体的に誰ですか。宛先のメールアドレス一覧やメーリングリストはどこにありますか。
「1つの資料」とは、決まったフォーマット・テンプレート(Word/Excel/スライドなど)がありますか。あるならどこに保管されていますか。
「関係者」とは具体的に誰を指しますか。共有方法は共有フォルダへのアップロードですか、メール添付ですか、それとも別の方法ですか。
どれも、書いた本人なら即答できます。即答できるから書かなかった、という種類の抜けです。
書いた人の頭の中にある前提は、答えをあとから結果に合わせないよう、試す前に架空の設定として決めておきました。8つのうち7つがそこに当たりました。残る1つは、締切までに議題を出さない部署があったら催促するのか、という質問で、これは用意していなかった前提です。とはいえ、休み中に本当に起きたら同僚が困る話なので、聞かれて損はありません。
埋めたあとのメモ
7つの質問に1行ずつ答えを書き足すと、こうなりました。「→」の行が足した分で、答えも架空の設定です。
1. 会議室(第2会議室)を毎月第1火曜10時で予約する
→ 社内のグループウェアの「会議室予約」から取る
2. 議題を各部署の担当者にメールで依頼し、前週水曜締切で集める
→ 営業・企画・総務の3人。名前とアドレスは「定例会議」フォルダの「担当者一覧」
3. 集まった議題を1つの資料にまとめる
→ 「定例会議」フォルダにある前月の資料をコピーして、議題の部分だけ差し替える
4. 資料を前日までに共有フォルダにアップロードする
→ 部の共有ドライブにある「定例会議」フォルダ
5. 出席者へ招集メールを送る(資料のリンク付き)
→ 部の全員。部のメーリングリストに送る
6. 議事録テンプレートを用意する
→ 「定例会議」フォルダにある「議事録テンプレート」を使う
7. 当日は進行とタイムキーパーを担当する
8. 終了後、議事録を作成して関係者に共有する
→ 部のメーリングリストに、会議の翌営業日中に送る
Claudeとのやりとりは1回きりです。あとは返ってきた質問を読んで、答えをメモに書き足すだけでした。
全部は拾えていません。議題の締切が前週水曜の何時なのかは聞かれず、7行目の「当日は進行とタイムキーパーを担当する」には質問が1つも来ませんでした。書いた人の頭には、進行の順番や1議題あたりの持ち時間があります。当日その場で自分がやる作業は聞かれにくいようで、ここは書いた人が自分で足すしかありません。
使ったプロンプト
最初は、Claudeに担当者になったつもりで1行ずつ作業を辿らせ、止まるたびに答える形で試しました。6往復かかって拾えたのは5つで、資料の形式やテンプレートの置き場所のように、自分で作れてしまう作業の抜けは素通りでした。そこで1回で全部出させる形に変えたのが、下のプロンプトです。最後に自分のメモを貼れば、そのまま使えます。
このメモは、毎月この作業をしている人が、休みに入る前に同僚へ渡す引き継ぎメモです。
あなたは、このメモだけを受け取った同僚の立場で読んでください。書いた人は休みに入っていて、途中で聞くことはできません。
実際にこの作業を進めるときに、書いた人に聞かないと進められないことを、質問の形で出してください。
休み中の書いた人に電話してでも聞かないと進められないものだけに絞って、多くても8つにしてください。
- メモを読めば分かることは、質問にしないでください
- 分からないところを自分で想像して埋めないでください
- 「たぶんこうだろう」と思って進めたくなる箇所も、質問として出してください
- 各質問に、メモの何行目についての質問かを書いてください
【引き継ぎメモ】
(ここにメモを貼る)
読む量を決めているのは「電話してでも聞かないと進められないものだけに絞って、多くても8つに」の行です。この行を入れずに頼んだときは、祝日の扱いや上長への確認まで質問が並び、どれに答えるかを選ぶだけで手間がかかりました。8つに絞ったせいで、締切の時刻や当日の進行が質問から外れた可能性はあります。それでも、答える側が8つ読めば済むほうを取りました。
「たぶんこうだろう」の行も入れています。1行ずつ辿らせたときに素通りした資料の形式とテンプレートの置き場所が、今回は質問として出てきました。ただ、この行を抜いて1回で頼む形は試していないので、この行だけのおかげとは言い切れません。
まとめ
足した7行を並べると、予約はどの画面から取るか、議題や招集メールは誰に送るか、資料と議事録は何を使って作るか、という中身でした。質問で埋まったのは、この「どこ」「誰」「何を使うか」です。聞かれずに残ったのは、議題の締切の時刻と、当日その場で自分がやる進行の段取りでした。質問に答えたあとで自分が書き足すのは、この2つくらいで済みました。
答えはどれも1行でした。休む前にメモを1回貼り、返ってきた質問に1行ずつ答え、聞かれなかった分だけ自分で足す。そうすれば、休み中に同僚が聞いてきそうなことの大半を、渡す前にメモに入れておけます。同じプロンプトは、新人に渡す仕事の説明や、留守の間に家族に頼む家事のメモにもそのまま使えそうです。